見ツケテ…
「そのネックレス、誰かとオソロイですよね?」


そう聞いたのは直弘だった。


「べ、別にそんなことはない」


館下先生は視線を逸らせ、手でネックレスを隠している。


明らかに挙動不審だった。


まさかネックレスのことを聞かれるとは思っていなかったのだろう。


油断していたのだ。


「そのネックレス、チェーンを外せば普通に指輪ですよね? 誰かにプレゼントしたんですか?」


更に質問を重ねる直弘。


「うるさい! 今俺は忙しいんだ! そんな質問に答えている暇はない!」


突然怒鳴り出した館下先生に、あたしは目を丸くした。


あたしたちを無視してサッカー部の部員たちの方へ向かう館下先生。


「館下先生、ちゃんと答えてください」


慌てて館下先生の前に立ちはだかり、知樹が言う。
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