見ツケテ…
「俺は館下先生ことを信じています。顧問としてサッカーを教えてもらえて、本当に良かったと思ってる」


知樹の言葉に館下先生が揺れているのがわかった。


サッカー部の部員たちからは、信頼のある先生なのだろう。


「そんな館下先生がなにか隠し事をしているとしたら……俺はもう、館下先生のことを信用できなくなります。この学校でサッカーし続けることができなくなります」


知樹の言葉は館下先生にとっても重たい言葉だった。


本気でサッカーに取り組んでいる部員が1人でも減ると、サッカー部にとっても痛手だ。


「……先生は、新婚さんですよね?」


あたしは館下先生の横に立ち、静かな声で聞いた。


館下先生があたしから視線を逸らせる。


ネックレスに付けられている指輪は蛇だけど、女性が付けてもオシャレなデザインになっている。


それに、もしもオソロイで指輪を贈るとしたら、それはきっと……女性だ。


「誰に、オソロイの指輪をあげたんですか?」


あたしの質問に館下先生のこめかみから汗が流れて行った。
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