見ツケテ…
やがて館下先生は諦めたようにネックレスに触れた。


「これはもう、取れないんだ」


「え?」


予想外な言葉にあたしは首を傾げる。


しかし、館下先生は真剣な表情で、そして青ざめている。


「取れないってどういう意味ですか?」


そう質問した時、館下先生がジャージのファスナーを下げてちゃんとネックレスを見せてくれた。


すると、ネックレスのチェーンが先生の首に食い込んでいるのがわかった。


ネックレスの下の肌は赤くなっている。


「どうしてそんなことに……?」


そう呟いて館下先生の後ろに回って確認してみると、長いチェーンがギュッと束になっているのがわかった。


絡まっているわけじゃなく、丁寧に折り曲げられている状態だ。


「なんですかこれ? どうしてこんなことに……?」


不思議に感じてチェーンに触れてみると、それは石のようにガチガチに固まっていることがわかった。
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