見ツケテ…
赤ん坊の泣き声は徐々に大きくなり、あたしたちは耳を塞いだ。


学校でこの声が聞こえて来たことなんてなかったのに……!


そう思った時だった。


館下先生が「なんだこの声は!?」と、混乱し始めたのだ。


あたしたち4人にしか聞こえないと思っていた声が、館下先生には聞こえているのだ。


「誰のイタズラだ!?」


館下先生は青ざめ、挙動不審に周囲を見回している。


突然暴れ出した館下先生に、サッカー部員たちは混乱した様子を見せている。


「館下先生にも聞こえるんですか?」


知樹が目を見開き、唖然として聞く。


「聞こえる決まってるだろ! なんなんだこの声は! 頭が痛くなって来た!」


館下先生が叫び声を上げて頭を抱えた、次の瞬間だった。


声が色を持っていた。


アアアアアアア!!と、続くその声が真っ黒なモヤとなって目の前に現れたのだ。


そのモヤはあたしたち4人の周りをグルグルと回り、やがて館下先生の首に絡み付いた。
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