見ツケテ…
その瞬間、ネックレスが更にギリギリと締め上げられるのを見た。


細いチェーンが館下先生の首に食い込んでいく。


館下先生はその場に膝をつき、空気を求めて口を大きく開いた。


しかし、そこから入ってくる空気はごく微量で、ヒューヒューと苦し気に喉が鳴った。


館下先生はネックレスを外すために爪を立てて喉をかきむしり、皮膚から血がにじみ出て来た。


それでも呼吸はできなくて、徐々に顔が真っ赤になっていく。


「赤ん坊は館下先生を狙っていたから、あたしたちについて来たの……?」


ふと、1つの憶測が浮かんで呟いていた。


あの池は住宅街にある。


それでも怪奇現象などの噂は1つも聞いたことがなかった。


あたしたちに奇妙な出来事が降り注ぐのは、館下先生に近い人間だったからではないか?


「チェーンを切らないと!!」


美奈の悲鳴によって我に返った。


そうだ、今は館下先生を助けるのが先決だ。
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