見ツケテ…
知樹のことはもちろん好きだ。


それは、すでに美奈に相談していたことだった。


「智樹は忙しい人だからなぁ」


高校に入学して仲良くなってからも、こうして4人で遊びに出たことは1度もなかった。


練習が休みの日でも、知樹には自主練がある。


毎日家から神社まで10キロの道のりを走っていると聞いたことがあった。


サッカーへの情熱は、痛いほどの伝わって来る。


そんな知樹を自分の気持ちで縛るわけにはいかない。


「知樹、彼女が欲しいって言ってなかった?」


「言ってたけど、それならもっとサッカーについて詳しい子の方がいいよ」


あたしの考えは間違っていないはずだ。


ただ好きで付き合うと、知樹を束縛してしまいそうで怖かった。


「それなら、今から勉強すればいいじゃん」


なんでもないように言う美奈にあたしは目を見開いた。


「え……?」


「だってさ、まだ高校1年生の6月だよ? 今から勉強すれば、卒業するころにはサッカーのエキスパートになれてるかもしれないよ?」
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