見ツケテ…
あまりに深く切り裂いたため、父親の首が一気に半分ほど垂れ下がってしまった。


2人の血によって部屋の中が真っ赤に染まる。


「大丈夫よ恵梨佳」


「大丈夫だぞ、恵梨佳」


2人の、掠れた声が部屋中に響き渡る。


「1人じゃない。3人一緒だからな」


首の皮一枚で繋がっている父親が、頭をブラブラと揺らして言う。


そして、2人は同時に笑い出した。


首を掻っ切って、もう声なんて出ないはずなのに、その声で笑い出した。


笑った衝撃で、残っていた皮がブチブチと引きちぎれて行く音が聞こえた。


やめて!


もうやめてよ!!


そう念じた次の瞬間、あたしの体の上に両親の頭がボトリと落下してきたのだった……。
< 147 / 210 >

この作品をシェア

pagetop