見ツケテ…
ハッ! と、大きく息を飲んで目を覚ました。


その瞬間自分の顔に手を当てる。


ジットリと汗で濡れているけれど、しっかりと呼吸ができていた。


「恵梨佳、朝ご飯ができたわよ?」


隣のキッチンから母親の声が聞こえてきて、勢いよく上半身を起こした。


見ると、和室の入り口から顔を覗かせて眉を寄せている母親がいた。


今のは全部夢……?


それにしれはリアルで、呼吸もできなくて、死んでしまうんじゃないかと不安になった。


起きた今も呼吸が乱れていて、全身が汗だくだ。


「ちょっと恵梨佳どうしたの? ひどい汗じゃない」


母親が心配してあたしに近づいてくる。


オデコを触れられそうになり、咄嗟に身を引いていた。


夢の中で見た、口や目から緑色の水を流していた姿と実際の母親の姿が重なってしまう。


「大丈夫だよ……。ちょっと、シャワーを浴びて来るね」


あたしは自分の呼吸を整えながらそう言ったのだった。
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