見ツケテ…
☆☆☆

シャワーのお湯を出そうとした時、あたしは一瞬ためらっていた。


また緑色の水や、黒く長い髪の毛がでてきたらどうしようと、恐怖心が湧き上がって来る。


だけど、汗にまみれたままじゃ外出ができないので、思い切って蛇口をひねった。


出て来る水に一瞬体を硬直させたが、それが透明な水だとわかってひとまず安堵した。


それにしても、今日の悪夢は最低だった。


あそこまでひどい夢、今まで見たことはない。


目を閉じれば両親の頭が落下してきた時の場面がありありと浮かんできて、あたしは左右に首を振ってかき消した。


それもこれも、最近の出来事のせいだった。


このままじゃロクに眠れなくなってしまうだろう。


心霊現象はジワジワとあたしを追い込んで行っている。


どうにか汗を流して出て来ても、食欲がなかった。


両親の顔を見ていると、どうしても昨日の夢を思い出してしまう。
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