見ツケテ…
警戒する
美奈と共に直弘を保健室まで連れて来ると、保険の先生がすぐに手当てをしてくれた。


幸いにも骨折はしていないようだけれど、念のため病院へ行くことを進められた。


「ちょっとあなたたち、本当に大丈夫なの?」


手当てが終った後、保険の先生が真剣な表情で聞いてきた。


「ちょっと階段から落ちただけだから平気ですよ」


直弘は明るい声で言う。


前回保険の先生に秘密にしてしまったからだろう。


「先生にはそうは思えないんだけど?」


手当ては終わったけれど、先生はあたしたちを解放する気はなさそうだ。


その時、保健室のドアが開いて知樹が入って来た。


額に汗を滲ませて息を切らしている。


「知樹!」


あたしはすぐに駆け寄って、知樹を見つめた。


『直弘を階段から突き落としたのは誰だったの?』


という質問が喉から出かかっている。

< 157 / 210 >

この作品をシェア

pagetop