見ツケテ…
「別行動でもいいしな」


そう言ったのは知樹だった。


あたしは驚いてスプーンを持つ手を止めた。


「え?」


「恵梨佳は疲れてるみたいだし」


「あ、あたしなら大丈夫だよ!?」


ショッピングモールを歩いたことで随分と気分が良くなっていた。


「そっか。それなら別行動でもいいかもね」


美奈がすぐに賛成する。


自分のせいで別行動になるなんて申し訳ない!


そう思ったが、美奈が目配せをしてきたのでようやく気が付いた。


知樹と2人きりになれるチャンスなんだ。


「あたしは直弘の言うゲームセンターに行ってみたい」


外にいるからか、美奈は普段よりも積極的だ。


「じゃあ、あたしは知樹に送って行ってもらおうかな……」


小さな声で言い、知樹の様子を確認する。


知樹は笑顔で「もちろん」と、頷いてくれたのだった。
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