見ツケテ…
☆☆☆

知樹は宣言通り、あたしのためにぬいぐるみを何個も取ってくれた。


大きなものは1度じゃ取れないけれど、手のひらサイズのぬいぐるみなら簡単に取ってしまうのだ。


「知樹すごいじゃん」


美奈と2人でトイレに行ったとき、あたしの手に持っている景品袋を見てそう言われた。


袋の中には10個ちかくのぬいぐるみが入っている。


「本当だよね。知樹の意外な特技だよねぇ」


あたしは苦笑いを浮かべて答える。


正直、これ以上取られたらぬいぐるみの置き場所に困ってしまう。


だけど知樹は景品を取ることが好きみたいで、なかなかやめてくれないのだ。


「あたしも、さっき直弘に取ってもらっちゃった」


美奈は頬を赤らめながら、キャラクターものの時計を見せて来た。


時計などの景品は取りにくいけれど、美奈が欲しいと言うので直弘は何度も頑張っていたのだ。


「可愛いよねその時計」


「えへへ、ありがとう」
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