見ツケテ…
☆☆☆

悲鳴をあげてトイレから逃げて来たあたしたちに、知樹と直弘は驚いた表情を浮かべていた。


トイレ内での出来事を必死に説明するが、うまく言葉にならない。


とにかく恐怖心があたしと美奈を支配していた。


「落ち着いて」


知樹があたしと美奈にジュースを買って来てくれて、ようやくベンチに座った。


「早く、店員さんに知らせないと」


青ざめた顔で美奈が言う。


「そうだね……」


そう返事をしたものの、動くことができなかった。


「店員に言うって、トイレでなにかあったのか?」


直弘に聞かれて、美奈がゆっくりとさっきの出来事を説明し始めた。


「なんだ、水道が壊れてたのか」


あたし達の話に直弘はホッとした表情になった。


「でも、その水に髪の毛が混ざってたんだよ?」


「汚水が流れ込んできたなら、そんなこともあるだろ?」
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