見ツケテ…
「でも、隣街だからちょっと遠いよね。どうやって行くの」


美奈がふと思い出したように言う。


「電車でもバスでも自転車でも、いくらでも手段はあるよ」


直弘がすぐに返事をした。


「自転車とかよさそうだな。トレーニングにもなりそうだし」


知樹が真剣な表情でそう言い出したので、慌てて「で、でもちょっと距離があるよね」と、口を挟んだ。


隣街まで自転車で行こうとすると1時間以上かかってしまう。


知樹とサイクリングだと思えば楽しいかもしれないが、トレーニング感覚だとこっちはついていけなくなってしまいそうだ。


「妥当なのはバスかな。ショッピングモールの前で停車してくれるから、ちょうどいい」


スマホで地図を確認して直弘が言った。


「そっか。それならバスの方がいいかな」


知樹もすぐに同意してくれて胸をなで下ろした。


「あれ、ねぇこれ見て!」


美奈が眉を寄せてあたしたちにスマホを見せて来た。


ストリートビューを使ってショッピングモールまでの道順を見ていたようだ。

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