愛され秘書の結婚事情
「先生の言う通りだ! 今日は早退しなさい! いや、これは常務命令だ!」
「そんな常務……」
七緒は途方に暮れた顔をした。
「本当にもう、私は大丈夫ですから……。それに常務、今日はK食品の幹部の方達との昼食会議に、Nホテルにオープンするレストランの視察等、社外スケジュールも多うございます。こんな時に私が休んだら……」
「ああそうだったな。その昼食会議は別の人に頼む。視察は別の日にする」
「え!」
驚く七緒の目の前で、悠臣は携帯電話を取り出し秘書室に電話を掛けた。
「ああ、小森室長。うん、今、医務室にいる。今日の僕のスケジュールだけどね、K食品との会議は鈴木営業部長と山下専務に行ってもらって。あとNホテルの視察は来週に変えて……」