愛され秘書の結婚事情
悠臣の提案に対し、小森は「それは結構ですが、佐々田さん本人が了承しないかもしれません」と言った。
さすがに悠臣より付き合いが長いだけあり、室長も佐々田七緒という人間の性格を良くわかっていた。
室長のこの発言に対し悠臣は、「まあ大丈夫そうなら、そこは彼女の判断に任せよう。ただ明日は、本人がなんと言おうと休みにして」と言った。
この室長とのやり取りで、今日の彼の仕事は全て終わった。
すでに小森は先に帰社しており、悠臣はこのまま自宅に直帰する予定だった。
その時、胸ポケットのスマホが震えた。
まだマナーモードにしていたそれを、彼は何気なく手に取った。
そこで発信者名を見て、我が目を疑う。
【佐々田七緒】と表示された画面を、悠臣は信じられない思いで見つめ、慌てて通話ボタンをタップした。