愛され秘書の結婚事情
「来週は僕、火曜から台湾に出張で、そのまま土日に突入しちゃうでしょう。平日に誘うのも気が引けるし、それなら今週の金曜日がいいかなって思ったんだ」
(そこまで考えていてくれたの……?)
思いがけない申し出の上に、悠臣が前から自分の誕生日を祝うことを計画していたと知り、七緒の胸は知らず高鳴った。
それは自分が秘書として、それだけ彼に重用されていることと同義に感じられ、純粋に嬉しかった。
「ではあの、有り難くご馳走になります……」
「ホント? 良かった~」
悠臣はパッと顔を上げ、子供のように天真爛漫に笑った。
「実はもう一ヶ月も前から、店を予約していたんだよね。無駄にならなくて良かった~~~」
「え」
途端に七緒は顔色を変えた。