愛され秘書の結婚事情

 でも、と悠臣は続けた。

「とりあえず今の間は、飛行機に乗っている間だけは見逃して。僕は今、人生最高潮の只中にいるんだ。幸福の絶頂期にいるわけだよ。だから笑わずにはおれないの。わかってくれる?」

「…………」

 小森は四角い顔で大きな口を真一文字に結び、胡散臭いものを見る目で上司を見つめた。

 そして彼は言った。

「わかりました。でも、機内にいる間だけですよ」

「うん」

 再び満面の笑みを浮かべ、悠臣は上機嫌で頷いた。
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