愛され秘書の結婚事情
3.
金曜日の夕刻。
悠臣たちを乗せた飛行機は、定刻通り羽田空港に到着した。
随行した秘書と部下達と空港で別れ、悠臣ははやる心を抑えきれないまま、真っ直ぐ自宅マンションに向かった。
空港に着いてすぐ、七緒にはメールを送っておいた。
『羽田に着いたよ。今から真っ直ぐに帰宅します。お土産もあるからね』
そんな彼のメールに対し、七緒からもすぐに返事があった。
『おかえりなさい。お疲れ様です。ご自宅でお夕食とお風呂の用意をして、お帰りをお待ちしています』
「わぁ……」
七緒からのメールを受け取った途端、悠臣はタクシーの後部座席で歓声を上げた。
彼女が今、自分の家にいて、自分のために風呂と食事を用意してくれている。自分の帰宅を待ってくれている。
その事実だけで、三泊四日の海外出張の疲れも吹っ飛び、悠臣はウキウキと傍らの荷物を見た。
そこにはタイトなスケジュールの中、どうにか作った短い自由時間で見つけた、七緒宛ての出張土産が紙袋三つ分、いっぱいに詰まっていた。