愛され秘書の結婚事情

3.


 午後六時。

 いつも七時八時過ぎまで残業する七緒にしてはめずらしく、今日は退社時刻きっかりにタイムカードを押した。

 そのまま指定された店に、タクシーを使って直行する。

 悠臣は一足先に社を出て、その店で七緒の到着を待っていた。

 ブランドドレスを数多く扱うセレクトショップで、店長自らと悠臣が七緒を迎えた。

「やあ、来た来た」

 悠臣は片手を上げて七緒に合図し、美人の女性店長に向かって、「じゃあ後はお願いします」と言った。

「え、あの……」

 戸惑う七緒の手を掴み、品のある美女だが押しの強さは天下一品の店長が、「了解しました。さあ、時間がありませんので、早くこちらへ」と彼女を引っ張って奥の部屋へと連れて行く。
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