愛され秘書の結婚事情
ポロポロと大粒の雫を落としながら、七緒は潤んだ瞳で訴えた。
「わかっています。親孝行するのなら大人しく地元に帰って、央基と結婚するのが一番だってことは。だけど、無理です。できません。央基のことは嫌いじゃないけど……。でも、私が好きなのはあなたです。別れるなんて嫌です。あなたと離れたら、私の心が死んでしまう……」
「ああ、そうだね。……僕も同じだよ」
泣きながら胸の内を吐露する七緒を、悠臣は愛しげに抱き締め、そのつむじに口づけた。
「だけど、よく話してくれたね。ありがとう」
濡れた彼女の頬を枕元のティッシュで優しく拭ってやりながら、悠臣は穏やかな声で言った。
「事情がわかったから、どうするのがいいのか、僕も一緒に考えるよ。だけど今夜はもう遅い。考えるのは明日にしよう。君も疲れただろう?」
「はい……疲れました」
泣き止んだ七緒は、今にも崩れそうな表情で答えた。
「そうだね。ほら、もう横になって」