愛され秘書の結婚事情
体を支えてやりながら、悠臣は七緒のガウンを脱がせて、その体をベッドに横たえた。
顎の下まで毛布で覆ってやり、涙の跡の残る頬にそっと手を添える。
「今夜はもう何も考えないでおやすみ。不安に思うことはないよ。必ず僕がなんとかするから」
「でも……」
開いた彼女の口を指先で封じ、悠臣は優しく笑った。
「今さら変な遠慮はなしだよ。僕達は夫婦になるんだろう? 君の抱えている問題は全て、僕の問題でもあるんだ。もちろん、僕が何か問題を抱えた時は、同じように君に助けてもらう。今回はたまたま、僕が助ける番。……わかる?」
七緒はまた涙の滲んだ目をして、それでも素直に頷いた。
「いい子だ。さあもう目を閉じて」
言われるがままに、七緒は静かに目を閉じた。
「君が寝付くまで、こうしていてあげる」
「はい……」
頬に温かな男の手の温度を感じ、七緒は目を閉じたまま微笑んだ。