愛され秘書の結婚事情
先に目を覚ました七緒は、恋人を起こさないようにそっとベッドから降り、久しぶりにちゃんとした朝食を用意しようとダイニングに向かった。
長い髪はポニーテールにして、長袖Tシャツにジーンズという軽装で、いつものエプロンを身につけ。
カリカリに焼いたベーコンとフワフワのスクランブルエッグ、適当な大きさに切ったグリーンリーフ、それに辛子マヨネーズを加え、トーストした冷凍ベーグルに全ての具を挟む。
さらに、玉ねぎと人参の千切り、固形コンソメでスープを作り、パセリを振る。
そこにマシンで淹れたカプチーノを添え、朝ご飯が完成した。
「よし、完成!」
お揃いのランチョンマットに二人分の朝食を並べて、七緒は満足気に呟いた。
するとまるでタイミングを見計らったかのように、寝室のドアが開いて悠臣が現れた。
「……おはよう」
まだ眠いのかしきりに目をこすりながら、パジャマ姿で現れた悠臣は。
テーブルの上に並んだ朝ご飯を見て、「おお」と声を上げた。
「何だかいい匂いがすると思ったら、これだったのか。君が作ったの?」
「おはようございます。ええ。簡単なものばかりですけど」
「美味しそうだね。ありがとう」
悠臣は笑顔で彼女を抱き寄せ、お礼代わりにその頬に口づけた。