愛され秘書の結婚事情
「幼馴染君は納得してくれた?」
「全然していません。だけど仕方のないことだし……」
七緒は自然と彼の胸に寄りかかりながら、憂鬱な顔で言った。
「今から母に電話します。……央基と会ったことと、彼からの結婚話を断ったこと。両親には申し訳ないけれど、私は彼とは結婚できないから……」
「うん……」
しかしそこで悠臣は、「七緒」と彼女の手を掴んだ。
「お母さんに電話をするなら、伝えて欲しいことがあるんだ」
「え? はい、なんですか」
「明日、二人でそちらに伺っても大丈夫か、聞いてみて欲しい」
「え?」
一瞬言葉の意味が理解出来ず、七緒は目を瞬かせた。
「飛行機のチケットは手配した。朝の七時十分発でちょっと早いけど、一時間半で島根に着くから。帰りは同日の午後七時二十五分発で、どちらも羽田と出雲空港を利用した便だ」