愛され秘書の結婚事情

 突如、和やかな空気を醸した佐々田家で、しかし悠臣だけは厳しい顔つきでいた。

 彼はそこで、「親子の和解が成立したところで、もう一つお話があります」と切り出した。

「竜巳君」

 彼はいきなり、未来の弟に顔を向けた。

「君はこの家の当主になる気はあるのかい」

「えっ!」

「君が継ぐ気がないのなら、僕が佐々田の養子に入り当主になる」

「「「「え!!!!」」」」

 その場にいた全員が一斉に驚く中、悠臣は竜巳の顔だけを見て続けた。
< 262 / 299 >

この作品をシェア

pagetop