愛され秘書の結婚事情

「もし君が、当主にはなりたいけれど、自分にその器があるのか自信がないだけなら、僕は君にアメリカ行きを勧める」

「えっ、アメリカ? ちょ、何言ってるんですか?」

「君は高校時代、英語の成績だけは抜群だったそうだね。英語スピーチの学校の代表にも選ばれている」

「あ、まぁ……。でもその他の科目は全然ダメだったから、結局大学もFランしか受からなかったけど……」

「僕は君が馬鹿だとは思わない。馬鹿なら、サッカー部のレギュラーになり、司令塔であるミッドフィルダーを務め、全国大会にまで行けない」

 父親のみならず、いつの間にか弟のことまで調べていた恋人に七緒が驚くと、「これはお母さんから貰った情報だよ」と悠臣は笑った。
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