愛され秘書の結婚事情
「ああ、先週使いの方が見えた時に、七緒と竜巳の子供の頃の写真をお見せして、思い出話をしたの。でもまさか、全部ご報告されていたなんて……」
「ええ、彼から全部聞きました」
悠臣は路子に向かってニッコリと笑いかけた。
ハンサムな彼に笑顔を向けられ、路子は恥ずかしそうにうつむき、「それならもっと、色々お話しすれば良かったわね」と呟いた。
「その後君は、試合中に痛めた足の怪我のせいで、大学の特待生の話もなくなった。だけど君はその辛い経験を乗り越え、前向きに努力している。今の会社で認められるために、誰より早く出社して掃除などをしているそうだね。君は根性があるし、向上心もある。ただその長所を生かしきれていないだけだ」
「だからアメリカですか?」
いつの間にか竜巳も真剣な顔つきになっていた。
七緒は弟のこんな顔を見るのは、彼が高校二年生の時の、全国大会出場をかけたサッカーの県大会以来だと思った。