愛され秘書の結婚事情

「あ、けど……。これで俺が会社辞めることになったら、また親父とお袋が、塚川の小父さん達に頭を下げないといけなくなるんじゃ……」

 竜巳の不安そうな顔を見て、七緒も「確かにそうだな」と思った。

 しかしすぐに悠臣が、「いや。その件については僕に任せて欲しい」と言った。

 びっくりする佐々田家の皆の顔を見て、悠臣はニッコリ笑った。

「実は、こちらへのご挨拶の後に、塚川さんのお宅に伺う予定なんです。塚川社長とはすでに、昨日のうちにお電話で話しました。お昼を一緒にと誘われていますので、よろしければ皆さんもご一緒にどうぞ」

「え……?」

「なんで……?」

 七緒と竜巳の姉弟がまた、抜群の連携プレーで疑問の声を上げたが、昌輝と路子も子供達と全く同じ気持ちだった。
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