愛され秘書の結婚事情

「悠臣さんは私としたいですか。それとももう眠りたいですか」

「えーーーと……」

 長い前置きの後に、悠臣は正直に答えることにした。

「したくないワケではないけど……今日は疲れたので、眠気の方が勝ってます……」

 その返事に七緒はフフッと笑い、「私も同じです」と答えた。

「え、ホント?」

「本当です」

 七緒は相手の空になったカップを受け取り、自分のカップと一緒に流し台に運んだ。

 軽く流水で洗(すす)いだそれを食洗機の中に収めて、彼女は静かな表情で悠臣を見た。

「悠臣さん。もしかして、おかしな気を使ってませんか?」

「え。おかしなって……」

「私をベッドの上で、ちゃんと満足させているかどうか、ってことです」

「う……」

 図星を指され、悠臣はギクリと表情を強張らせた。

 七緒はクスリと笑い、「やっぱり」と呟いた。
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