愛され秘書の結婚事情

 だんだん調子づいてきた悠臣は、指を折りながら七緒への希望を挙げていった。

「四つ目、お互いの誕生日と結婚記念日は、必ず二人で一緒に過ごすこと」

「五つ目、他の男にあまり愛想良くしないこと。電話番号を聞かれても軽々しく教えないこと!」

「六つ目、……」

「まだあるんですか?」

 七緒が呆れた顔をすると、悠臣は「うん。あと二十個くらいある」と笑顔で答えた。

「えーと、何個目まで言った? そうそう、六つ目。膝丈より短いスカートを外で履かないこと!」

「……私、先に、荷物を片付けて来ます」

 付き合いきれなくなって、七緒はクルリと踵を返し寝室に戻った。

 そんな彼女の後ろを歯磨きブラシ片手に追いかけて、悠臣は「七つ目!」と声を上げた。

「具合が悪い時も、真っ先に僕に教えること! 七緒さん、君、先週、生理で貧血が酷かったのに、僕に黙っていたでしょう!」
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