愛され秘書の結婚事情

「えっ!」

 七緒は驚いて、荷物整理の手を止めた。

「どうしてご存知なんですかっ?」

 悠臣はチッチと指を振り、「僕の情報網を甘く見ちゃいけない」と言った。

「言っておくけど医務室の十倉先生は、僕のカウンセラーでもあるからね!」

「まさか、十倉先生から聞いたんですか?」

「そう。昼休憩の時に痛み止めをもらって、医務室で少し休ませてもらったでしょ。十倉先生が言うには、君は鉄不足だそうだよ。日頃から食事に気をつけて、あと一度、病院でちゃんと血液検査してもらいなさいって」

「……それは直接、十倉先生に言われました」

「知ってる? 鉄不足になると、シミやクマが出来やすくなるんだよ?」

「……今度、病院行きます」

 七緒はうなだれつつ答えた。

「はい、じゃあ八つ目!」

 意気揚々と声を上げた恋人を見て、七緒は「はぁ~」と肩を落とした。
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