愛され秘書の結婚事情
無理やり常務との記憶を封じ込め、七緒は食材を冷蔵庫から取り出した。
しかしそのタイミングで、玄関のチャイムが鳴った。
とっさにキッチンの時計を確認すると、午前七時を五分ほど過ぎたところだった。
「え。誰?」
まさか、期限が迫ったことで田舎の両親が突撃してきたかと、七緒はおそるおそるドアスコープから外を確認した。
不思議なことに、最初に視界に入ったのは一面の赤だった。
一体何の赤だと思っていると、赤い丸から誰かが顔を覗かせた。
その顔を見て、七緒はまた驚いた。
驚きの余り、「えっ」という声まで出た。
その声に、廊下に立っていた人物が反応した。