愛され秘書の結婚事情
「佐々田さん? いるの?」
早朝の来訪者は、なんと悠臣だった。
七緒は「は、はいっ!」と慌てて返事をして、反射的にチェーンと鍵を外した。
内側からドアを開くと、やはり外にいたのは悠臣で間違いなかった。
昨日とは違うスーツ姿で、手に大きなバラの花束を抱えている。
「赤い色の正体はこれか」と思いながら、七緒は「一体どうされたんですか?」と聞いた。
「うん。とりあえず、中に入ってもいいかい」
あまり寝ていないのか、悠臣は少しだけ隈の目立つ顔で言った。