愛され秘書の結婚事情

 わざと茶化す口調で答え、悠臣は身を乗り出して七緒の顔を覗き込んだ。

「出来れば今、返事が欲しいんだけど」

「え、で、でも……」

「結婚相手が見つかったら、君は田舎に帰らなくていいんだよね?」

「は、はい……」

「会社も辞めなくていいんだよね?」

「はい……」

「佐々田さんは、僕が嫌いかな」

「そんなわけありません!」

 反射的に答えた七緒は、けれどすぐに、右頬を押さえたままそっぽを向いた。

「嫌うだなんて……そんなこと、有り得ません……」
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