愛され秘書の結婚事情
(顔の綺麗な人って、手も綺麗なのかな……)
自分の手の上にそっと置かれた彼の手の平は、じんわりと温かく滑らかで、そこから発せられる熱が表皮から血管を通じて、足の先まで温まりそうだなと、七緒は思った。
「あの……気持ちいい、です」
偽りのない表情と声で、彼女は言った。
「なんだかすごく、落ち着きます……」
「そうか」
悠臣は目を細めて、「じゃあこれは?」と、両手で彼女の左手を包み、その甲に口づけた。
「ひゃっ!」
小さい悲鳴を上げて、七緒は真っ赤な顔で左手を引っ込めた。