愛され秘書の結婚事情

「それに私、常務は女性嫌いなんだと思っていました。以前から、結婚はもうこりごりだと、そう仰っていましたよね」

「うん、言っていたね。そう言わないと、こっちにその気がないのに、周囲が外堀から埋めて来ようとするからね。そういう連中を追っ払うには、独身主義をアピールするのが一番簡単だったんだ」

「結婚がこりごりと言う話は、では嘘だったんですか」

「嘘じゃないよ。もう前みたいな結婚生活はこりごりだって意味だよ。だけど佐々田さんは前妻とは違う人だ。僕は君となら、前とは全く違った結婚生活になるんじゃないかと思ってる」

「……私は、常務と結婚だなんて、想像もできません」

「想像できないなら、実際にやってみればいい」

「え？」

「だからね、僕と一緒に暮らさないか、って言っているんだよ」