愛され秘書の結婚事情
3.
「さあ、僕の手の内は全部明かした。次はあなたの番だよ」
泣き止んだ七緒に、悠臣は両手を広げてニッコリ笑った。
「え……」
「今すぐ結婚してくれとは言わない。僕は今日から、あなたに愛される努力をする。だからあなたも僕をただの上司としてでなく、一人の男として見る努力をして欲しい」
「常務を、一人の男性として……」
「そう」
悠臣は手を伸ばして、赤い目をした彼女の頭を撫でた。
「こういうのも、上司が部下にしたらセクハラだけど、仕事を離れた後なら許してもらえるかな?」
「…………」
「あれ。やっぱりダメ?」