愛され秘書の結婚事情

(う……)

 首を傾げた仕草で問われ、七緒は答えに詰まった。

 まさかこんな年上の目上の男性に対し、自分が「かわいい」と感じる日が来るなんて……と、その事実にショックを受けた。

「ダメでは……ないです……」

「やった。じゃあ手を握るのは?」

「……人目のない場所でなら」

「ハグは?」

「それは……」

 まともに答えようとして、七緒はハッとして叫んだ。

「そっ、そんなのいちいち、私に確認しないで下さいっ!」
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