愛され秘書の結婚事情

「ええ? だけど七緒さんが嫌がることをして、嫌われると困るし」

「……常務」

「今はプライベートだから、名前で呼んで欲しいなぁ……」

「……桐矢さん」

「ええ、そっちぃ?」

 思った以上に子供っぽいところのある上司に呆れながら、七緒は強い口調で「桐矢さん」ともう一度言った。

「はい」

 厳しくなった七緒の表情に、悠臣はさっと手を下げて椅子に座ったままかしこまった。
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