愛され秘書の結婚事情

「そ、それは……あまりに急なお話で、私の心の準備が……」

「それはこっちの台詞だよ。これから時間をかけて口説こうと思っていた秘書さんに、昨日いきなり、一週間後に辞表を出すって言われちゃったんだよ? 結婚しないと田舎に帰らないといけないって言うから、今日中にプロポーズしないとって思って、慌てて今日、早起きして生花市場まで行って、花束を買って来たんだからね!」

「わざわざ市場まで行かれたんですか? この近所にも、早朝からオープンしている花屋が二件ほどございますが……」

「そういう情報、僕は持ってないからね!」
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