愛され秘書の結婚事情
「あなたは自分を良く知っているようで全然知らない。あなたはね、七緒さん。この上なく魅力的で、この上なく素敵な女性なんだよ?」
そう言って、悠臣は彼女の左手を左手で持ち、その甲に恭しく口づけた。
「……二度目は逃げなかったね」
上目遣いに問われ、七緒は赤い顔で口を尖らせた。
「もう慣れましたから」
「さすが、順応力が高いね。若い証拠だなぁ」
「一週間後には三十歳ですよ。全然若くありません」
「若いよ、とても。僕には眩しいくらいだ」
「…………」