愛され秘書の結婚事情
「でも、素直に言い直してくれる辺り、あなたはやはり可愛くて優しい女性だな」
「え……」
意外な褒め言葉に七緒が顔を上げるのと、悠臣が彼女を抱きしめるのはほぼ同時だった。
いきなり長い腕に広い胸の中へと閉じ込められて、七緒はびっくりする余り、石像のように固まった。
「本当にあなたは……知れば知るほど可愛い。あなたのような女性と出会えて、僕は本当に幸運だ」
「ととと桐矢さん……」
「何?」
「こっ、これは一体、どういう意図で……」
大切な宝物を逃さないよう腕の中に封じ込め、悠臣はクスクスと笑った。
「意図なんてないよ。ただ僕が、あなたを抱きしめたいからそうした。男が好きな女性に対し抱く、ごく自然でごく普通の欲求に従ったまでです」
「やっ、でもあのっ……これは……」