愛され秘書の結婚事情

「常務……。本当に、私なんかを好きなのかな……」

 テーブルに突っ伏して腕を枕に、七緒は何もない宙を見つめた。

 空腹は満たされ、しっかりアイシングされた頬はもう痛まない。

 バラが甘く香り、気分はとてもいい。

 だが思えば、これまでいつもそうだった。

 悠臣の隣にいて、嫌な思いをしたことなど一度もない。

 別の人間に不快な態度を取られても、彼がいつも庇ってくれた。落ち込みそうな時はさり気なく慰め、励ましてくれた。

 秘書として、自分が彼を補佐してきたと思っていたけれど、実は自分の方が彼に助けられて来たのではないか。そう思った。
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