愛され秘書の結婚事情

 そこまで考えて、七緒はボッと顔から出火した。

(な、何考えてるの私っ。上司の裸を想像するなんて、なんて恥知らずなことをっ!)

 だが土曜日のプロポーズから二日。

 気がつけば常に悠臣のことを考えている自分がいて、それがまたたまらなく恥ずかしくて、正直もう何も考えたくない、というのが今の本音だった。

 秘書の立場に徹していた時は、何も考えずに済んだ。

 ただ仕事のことだけ、上司のスケジュールを円滑に進めることだけを、ひたすらに考えていればそれで良かった。

 それは肉体的物理的にはハードな仕事ではあったが、心の負担はなかった。
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