愛され秘書の結婚事情
女子社員から絶大な人気を誇る悠臣だが、彼にキャアキャア黄色い声を上げる女の子達も皆、年相応の相手を見つけて寿退社していく。
彼に本気で言い寄って来るのは、三十代後半から四十代前半の落ち着いた“大人の女”ばかりで。
だからまだ二十代の七緒にとっても、自分がオジサンにしか見えないだろうことは、ちゃんと自覚している。
また初婚の彼女に対し、自分はバツイチで。
とにかく色々とネガティブな要素しかなく、つい三日前までは、プロポーズどころか告白すらするつもりはなかった。
けれど金曜日の朝にいきなり退職の意を伝えられ、おまけに親の決めた相手と見合い結婚すると聞いて、いてもたってもいられなくなった。
世間から見てどれほどみっともなかろうが、セクハラ親父と非難されようが。
このまま指を加えて彼女を退職させることだけは、出来なかった。