愛され秘書の結婚事情

 一晩悩んだ末のプロポーズという選択だったが、結果として彼女を無駄に悩ませることになったかと、その日のうちに悠臣は自分の決断を悔やんだ。

 だが、嘘は何一つ言っていない。誤魔化しもしていない。

 七緒が悠臣の秘書になって、そろそろ四年目を迎える。

 初めは若すぎる彼女に、何の期待もしていなかった。

 けれど一年経つともう、彼女無しでは仕事が回らないとまで感じるようになった。

 二年目には、女性としても好意を抱くようになった。けれど立場と年齢差を考えて、その思いはけして外に出さなかった。
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