いつかあなたに会えたら
八年前の春。
大学の入学式で、私たちは出会った。
憧れの大学の入学式と意気込んで眠れなかったのがあだとなって、気分が悪くなって倒れた。
そんな私を運んでくれたのが、智史だった。
お礼を言う間もなく、彼はどこかに行ってしまったから私はずっと探していた。
ただ、名前も知らない、顔もおぼろげにしか覚えていない状態だったから再会できなかった。
そして、そのまま一年が経った。
こんな広いキャンパスで、そんなことも彼には些細な出来事だったかも知れないと思いかけた頃、ついに私たちは二年生のゼミで再会した。
「それ、運命的だね!」
職場の同期である真奈美は目を輝かせた。
私は言葉を続ける。
「あ、でも、意図的な再会だったんだよね」
「え、でも、まどかは彼の名前とか知らなかったんでしょう?」
「実は、彼も私を探してたみたいで。ゼミ決めるためのミーティングでたまたま私を見つけて、合わせたんだって」
「え、それって向こうもまどかをすきだったってこと?」
「……一目惚れしたって言われた」
語尾が消え入るような私に、真奈美は笑った。
「えー!でもそれってやっぱり運命じゃん!」
そう、私も運命だと思っていた。
智史は、しばらく私に入学式のことを言ってこなかった。
そんなエピソードも忘れかけていた頃、飲み会で隣の席になった智史に急に話してみたくなったのだ。
それを聞いて『それ、俺。その時からまどかのこと好きみたい』と緊張気味に言った彼を思い出して胸がきゅっと痛む。
当時、既に私は智史を好きだった。
私はすぐに智史に惹かれ始めて、ゼミで真剣に取り組む姿や普段の優しさもたくさん見て、入学式の出来事は関係なく付き合うことを決めた。
「でも、別れたいんだ?」
「うん、五年間それだけじゃなかったからね」
この五年間で、きっといろいろなことが変わった。
それはいい意味でも悪い意味でもだけれど、少なくとも私たちが関係を続けるためには悪いことの方が多かったのだと思う。
大学の入学式で、私たちは出会った。
憧れの大学の入学式と意気込んで眠れなかったのがあだとなって、気分が悪くなって倒れた。
そんな私を運んでくれたのが、智史だった。
お礼を言う間もなく、彼はどこかに行ってしまったから私はずっと探していた。
ただ、名前も知らない、顔もおぼろげにしか覚えていない状態だったから再会できなかった。
そして、そのまま一年が経った。
こんな広いキャンパスで、そんなことも彼には些細な出来事だったかも知れないと思いかけた頃、ついに私たちは二年生のゼミで再会した。
「それ、運命的だね!」
職場の同期である真奈美は目を輝かせた。
私は言葉を続ける。
「あ、でも、意図的な再会だったんだよね」
「え、でも、まどかは彼の名前とか知らなかったんでしょう?」
「実は、彼も私を探してたみたいで。ゼミ決めるためのミーティングでたまたま私を見つけて、合わせたんだって」
「え、それって向こうもまどかをすきだったってこと?」
「……一目惚れしたって言われた」
語尾が消え入るような私に、真奈美は笑った。
「えー!でもそれってやっぱり運命じゃん!」
そう、私も運命だと思っていた。
智史は、しばらく私に入学式のことを言ってこなかった。
そんなエピソードも忘れかけていた頃、飲み会で隣の席になった智史に急に話してみたくなったのだ。
それを聞いて『それ、俺。その時からまどかのこと好きみたい』と緊張気味に言った彼を思い出して胸がきゅっと痛む。
当時、既に私は智史を好きだった。
私はすぐに智史に惹かれ始めて、ゼミで真剣に取り組む姿や普段の優しさもたくさん見て、入学式の出来事は関係なく付き合うことを決めた。
「でも、別れたいんだ?」
「うん、五年間それだけじゃなかったからね」
この五年間で、きっといろいろなことが変わった。
それはいい意味でも悪い意味でもだけれど、少なくとも私たちが関係を続けるためには悪いことの方が多かったのだと思う。