悪役令嬢になりきれませんの。
やっとまともに?視察令嬢





私は、カナルとラルラとで二階の洋服屋に向かった。お母様とお父様は王妃殿下とカフェでケーキを満喫中。2階は1階の雰囲気とはガラッと変わり、当たり前だがガヤガヤとした空気はなく、どこか上品で豪華な雰囲気で少しだけピンッと空気が張ったような感じのお店だった……





「お待ちしておりました。私オーナー不在時に経営を任されております。ハバルダと申します。どうぞ、なんなりとお申し付けください。さぁ、シャルネラ様。カナルさん、ラルラさん。どうぞこちらに。」





ビシッと燕尾服を着こなした中年男性が私たちを出迎える。ざっと店内を見れば青の薔薇が描かれた扉が三つ。赤い薔薇が描かれた扉が二つ。チラッとカナルを見れば、この店のシステムを教えてくれた。






ご来店頂いたお客様に声をかけ、そこから、ドレスか普段着かを聞き、普段着の場合は普通に選び、試着室でサイズを確かめお買い上げ。ドレスの場合は、元から型があるものを買うか、特注で買うのかで、部屋をわけられる。




元から型があるものは、青の薔薇の部屋に入り、試着室、買うのが決まってから倉庫にある同じドレス、普段着を持ってきて、軽いサイズ直しをしてお買い上げ。




普段着の場合(金貨1枚+軽いサイズ直し銅貨二枚)【約、合計金額 金貨1枚と銅貨二枚】(日本円で1200円サイズ無しで1000円)



元から形があるドレスの場合(金貨5枚とサイズ直しで銀貨二枚)【約、合計金額 金貨6枚】(日本円の場合、六千円サイズ無しは割引千円)



特注の場合は、赤の薔薇の部屋に入り、スタッフとお客様で、形、色、サイズを決めて受け取り(配達)か選び、十日後に受け取り。お買い上げ合計金額は(サイズや布によって変わるが平均見積で銀板5枚+宅配料金銅板二枚)【金板二枚、銀板1枚、銅板2枚(日本円で、27万)】





「なるほど……それでひとつ、ハバルダさん、ドレス部門は……何事も問題なくことが運んでいるんですか?なんと言いますか……夫人達は試着室とか、人が来たものを着るのをいやがる人が多いのでは?」





「えぇ、最初は試着という事に問題が多発しました。ですが、それは解決しております。今は何事もなくゆったりと営業させて頂いております。どれもこれも、シャルネラ様とご贔屓にして頂いている、ララルバ公爵婦人のおかげでございます。」





ら、ららららララルバ公爵夫人!?え、ララルバ公爵って……あ、そっか!二軒あるんだ!!…………いやいやいやいや!!落ち着け私ぃ!!似たような家名はあるけど……ララルバ家名はこの国で一軒のみ!!ならば、ララルバ公爵夫人は一人しかいない!!そう!ライバ・ララルバ宰相の奥様のマナスライカ・ララルバ公爵夫人…………彼女はどうして、ライバさんと結婚したか不思議な程にキャピキャピ女子系の人。たしか、このご時世には珍しい恋愛結婚。と、物語で話されていたはず……






「そ、そうですか……しかし、王妃殿下にも、ララルバ夫人にもお礼を言わなければいけませんね。しかし、部屋が足りてないのではなくて?」




と、店内を見渡す。二択に別れているからと言って全部で5つしかない部屋……皆さんが皆さんおとなしく順番を守って頂ける人ばかりではない、待たせれたら待たされるだけイライラするのが人間だ。




「いいえ、お嬢様。この店の工夫に寄って部屋は十分足りていますよ。」





「くふう?それはどういう?」





私の聞き返しにハバルダさんがニッコリ微笑む。



1つ目、待ち時間は下の喫茶店で使える【お食事券】が付き添い人も込で貰える。なるほど……でも、喫茶店の席が足りなくなるのでは?




2つ目、洋服屋で問題を起こした場合、洋服屋と喫茶店の出入り禁止が言い渡される。




3つ目、予約ができる。






「なるほど、予約ができるか出来ないかでは大きく違いが出てきますね。しかし、下の喫茶店で使える【お食事券】とはなんなのでしょう?喫茶店の席は足りてますの?」





「【お食事券】とは、ラルラさんがお嬢様の寝ていらっしゃる時にお聞きしたとおっしゃってましたよ?」




そう言われ、ラルラの方を見れば、お嬢様の安全かつ安眠をお守りするため夜の警備にお部屋にお尋ねしたところ【お食事券最高……】と、言っていらして、お食事券とは何ですか?と聞いたところお食事券の説明をしてくださいましたのでハバルダさんに伝えましたよ!と微笑む。





ふむ、だが……お食事券とはなんぞ?




「【お食事券】とは、喫茶店で提供しているショートケーキと紅茶または珈琲のセットのことです。そして、席のことですが、旦那様がこのシステムを絶賛しておられまして、この上の階に何席かを用意してくださいました。」




「上の階?ですが……外から見たこの建物は……」






そう、この世界には3階建ての建物はあんまりない。しかも私のお店みたいに上下お店だという建物は宿屋しかし存在しないのだ……





「えぇ、見た目は二階建て。しかし、お嬢様がお考えになられた【どこでも空間】と言う魔石をあの扉に取り付けまして、外から見たら二階建てと言う仕組みです。」






説明しよう。【どこでも空間】とは、我領でこことれ豊作!!と、ガッポガッポ野菜たちが取れ、さばききれない量の野菜たちを保管する場所がない。と、農民さんから相談を受け、あのアニメみたいに壁にかけれる犬小屋を部屋にしちゃえ!!と、作ったのが【どこでも空間】であ~る!!



【どこでも空間】は家具屋さんで買える。が、一般人には販売していない。なぜなら【どこでも空間】を買って家がなくてもそこに住んじゃえ!的な人がこの先現れるかもしれないからだ……そのひとりが私だったりする……が、お父様たちに阻止されて、【(今は)そんな事しないですわよ?】なんて言って誤魔化した記憶があるわ。





まぁ、想像するだけで大きさが決めれるし、あとから家具屋さんから請求書が送られてくるが、家具も想像するだけで揃えられるからだ。まぁ、想像で家具を揃える場合全てが特注品となるけれども……





「そうなんですね……まぁ、繁盛していて良かったですわ。」





ざまぁご安泰安泰。なんて、心の中でガッツポーズしているが……はたして、この売上は私のものだろうか?ざまぁされる私は、両親だけでわなく、領民さん達にも迷惑をかけるのではないか……え、じゃあ、迷惑かけました料として、ここの売上を領民さん達に使うべきなのでは!?





「カナル、私の全て合わせた売上を教えてちょうだい。」



「お嬢様の先月、売り上げられた合計金額は……金板が1000個です。」




「そう。」





二件の売上を合わせて金板(約)1000個なら、別々にしたら(約)500個ずつなんだよね?なら日本円にしてら(約)1億なのね……なるほどなるほど……





「えぇ!?」







突然声を上げた私に視線が集まるものの。私は、カナルをみて目をぱちぱちする。





「経営で必要な分は抜いて報告させて頂きましたが……それも込みで方向しますか?」




「いえ、もう十分です。それで……領地と、ハラさんの家に寄付しているお金は?」




「そちらも経営なので抜いています。そうですね……金板四百個です。」




「あぁ、そうなのね。子供ですもの服もすぐ汚しますし……栄養がある食べ物や、遊び道具なども買わなければいけないものね。それより……たりてるのかしら?見た感じ、リホームもしてるんでしょ?」







そう、ハラさんの屋敷に訪れた時。屋敷が増築されているのがちらっと見えた。私の質問にご心配なく。と、微笑んだので……まぁ、経営するにあたって私が口出しすることは何もないか……と思い、少し話してから下の喫茶店にいる両親のところに戻った……





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