悪役令嬢になりきれませんの。
いきなり招待状を貰った令嬢。
あぁ、夢だと言ってくださいませ……王子と会った次の日の朝……いきなり王家からの使いと言う騎士が来たかと思えば、国王陛下からの招待状が父の手に渡され。そそくさと帰っていく騎士様。
招待状を見た母が昨日の王子の態度を思い出したのか、イライラし始め、心做しか屋敷の気温がマイナスまで下がったような気がした。これは雪山、吹雪いてる……
「アティー。そう怒らないでくれ……この招待状は王家から、しかも国王陛下からの招待状なんだ……」
そうですとも……行かなかったら我々だけではなく、我領のみんなが大変なことになってしまいますよ。お母様。ほら、使用人の人達もビクビクしてますよ?
「しかし、なぜ突然、招待状なんかが……私もできるだけ城には上がりたくないんだが……アティー。気ままの義兄さんの力で何とかならないか?最終的にはこの手紙自体なかったことにしようか。」
「あら、貴方ったら……それでしたらさっきな騎士様を捕えなければなりませんわね。ここに来るまでの間に不慮の事故におあいになって……可愛そうですわ……」
不慮!?いやいやいやいや!?何言ってんの?事故すら会ってないし、ここに来たからね!?証拠が残らないように抹殺すんの!?消すの!?こっわァ!!いやだ、怖い!!
「お、落ち着いてください、旦那様、奥様。」
よしよし、まともなカナル登場したため。両親の不吉な企みが打ち消されるはずだ!!安心するのよみんな!ここに勇者が現れた!!
なんて思った私が馬鹿だった……
「旦那様と奥様が実行しなくとも……我々執事にお任せ下さい。」
いやぁーーー!カナルが一番やばかった!!みてよ、カナルの言葉に見守っていた使用人(男女関係なく)達がなんか、クナイに似てるナイフを持って微笑んでるんだけど!?なに!?ビクビクしてたのは、武者震いなわけ!?え、なに?みんなやる気……
「まぁ、冗談はここまでにして」
「冗談かい!!」
「お嬢様!私は殺る気いっぱいですよ!!」
なんて、元気100倍!!なんて言いそうな私のメイド……私を見て微笑むラルラにもう引きつり笑いしかできない。
「さぁ、皆。旦那様と奥様、そして、お嬢様の支度を。手紙を拝見したところ、国王陛下と王妃殿下だけでのお茶会をするそうだ。失礼がないよう、急いで支度を。」
そう言ったカナルに動き出す執事とメイドたち。私はラルラに連れられて部屋に戻り、支度をした。