悪役令嬢になりきれませんの。
神と紙。アイデアがひらめく令嬢
「本日はお呼び頂きありがとうございます。リリー・スラベル、今日の日をどれだけ待ち望んだことでしょう。」
なんて、アニメでは目がお金マークになるのをよく目にするけれど、リリーさんの場合はお金マークより、画用紙マークだ。
なんて思いながらもリリーさんに挨拶して、例の画用紙を渡す。
「こ、れは?」
「わたくし、少々ストレスが溜まっておりまして、そんなストレスを解消するためにお母様のお誕生日プレゼントとして歩きやすいウェッジヒールをプレゼントしようと思いまして。え?足と地面の間に空間がないのがダサいですって?はき方によって美足に見せるのがウェッジヒールの良いところですのよ?」
「なるほど……奥様のお誕生日プレゼント……となれば、速やかに作り上げた方がよろしいですね……はい!私にお任せくださいませ!!早く、綺麗く、可愛く、そして、丁寧に!仕上げて見せますわ!!」
なんて、絵を見て目を輝かせるリリーさん。しばらく眺めたら帰ろうとしたので引き止める。
「もうひとつ、あるのです……私のお友達にもヒールが嫌だという方がいましてね……その子にも……プレゼントしたいと思ってますの。」
「なるほど、学園のお友達となれば。お嬢様と同じお年の令嬢さまですね。……はい、わかりました!それでしたらお嬢様!お嬢様も今度開かれる学園の舞踏会に向けてなにかドレスをお作り致しましょうか?」
「まぁ!よろしいの?ならば……これを。」
「むむむっ!!こ、これは!!体のラインに合わせて作るものなんですねぇ!!えぇ!ぜひ作らせていただきたいですわ!!」
「ならば、それの、色違いを。お母様とお揃いがいいです。」
「ぜひぜひ!!」
なんて言って今度は私が声をかける暇もなく部屋から出ていった。私はそんな、リリーさんを苦笑しながらも部屋から見送った。